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国府田君は、推理小説が大好きだ。ホームズ、ポアロ、クイーン、ミス・マープル……。いろんなミステリ作品に傾倒した結果、彼の目指すところは、世界一の名探偵になることだった。幼児レベルのわかりやすさも、彼のいいところだと私は思っている。
杏子は眉をハの字にしながら、それでも少しずつ口を開いた。
「えっと……。二時間目の合間にちょっと見て癒されてたのは覚えてるから、それまではあったのね。
でもそのあと、英語、移動教室だったじゃん?
で、そのあと体育だから更衣室にも行って……だから、どこに落としててもおかしくないんだよね」
「国府田君に話すより正直、更衣室に探しに行きたいんだけど」。そんな杏子の気持ちが、うずうずしているひざに現れている。まぁ、待っててあげてよ。
一方、国府田君は、目をきらきらと輝かせて、にやりと不敵な笑みを浮かべた。
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