私のカレは名探偵

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「ときに杏子(きょうこ)くん、鞄や机の中は見たのかい?」 「見たよ、全部。でもないから、多分移動教室のとき三組に忘れてきたか、更衣室かじゃないかなって」 「杏子(きょうこ)くん……ひとつ、大事なことを忘れているよ。  最後に見た二時間目、授業はなんだったっけ?」  そんな国府田(こうだ)君の言葉に、私と杏子(きょうこ)は教室の後ろの黒板に書いてある時間割を見た。 「え?……世界史、だけど?」 「世界史!そう、世界史だ。つまり、ここから導き出されることは……。  杏子(きょうこ)くん、世界史の資料集を貸してくれたまえよ」  国府田(こうだ)君の言葉に、杏子(きょうこ)は不思議に思いながらも、彼に世界史の資料集を手渡す。  国府田(こうだ)君がぱらぱらと杏子(きょうこ)の資料集をめくっていくと、不自然にひっかかるページがあった。そこでページが止まる。そこには。 「あっ、あった!」  ローマの暴君カラカラ帝の隣、そこに、深代(ふかしろ)先輩のイケメンスマイルが現れた。  国府田(こうだ)君は、今日イチの得意気な顔をしながら口を開く。
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