私のカレは名探偵

1/8
前へ
/8ページ
次へ

私のカレは名探偵

「ない、ないっ!」  昼休み。教室で、隣の席の杏子(きょうこ)が叫ぶ。 「どうしたの?」  そう尋ねた私に、杏子(きょうこ)は顔を真っ青にさせてこう言った。 「ないの……こっそり隠し持ってた深代(ふかしろ)先輩の写真……」  深代(ふかしろ)先輩。それは、杏子(きょうこ)がひそかに憧れている学校一のイケメンのことだ。二年一組、テニス部、181センチ69キロ、視力右1.5左0.8、100メートル走のタイム13秒20(※杏子調べ)。 ……ていうか、あれだけスマホに写真入れてるのに、印刷までして持ち歩いてるのか。凄まじいほどの熱量だ。 「落としちゃったのかなぁ……わたしの深代先輩ぃ……」  杏子のじゃないけどね、うん。そう心の中でツッコミを入れつつ、わたしはやれやれと杏子の方に向き直って、探してあげようと試みていた。  そのとき、いつもの自信に満ちた声が響いた。 「困りごとかい?杏子くん!」  その声の主、それは……私の彼氏・国府田(こうだ)君だった。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

22人が本棚に入れています
本棚に追加