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私のカレは名探偵
「ない、ないっ!」
昼休み。教室で、隣の席の杏子が叫ぶ。
「どうしたの?」
そう尋ねた私に、杏子は顔を真っ青にさせてこう言った。
「ないの……こっそり隠し持ってた深代先輩の写真……」
深代先輩。それは、杏子がひそかに憧れている学校一のイケメンのことだ。二年一組、テニス部、181センチ69キロ、視力右1.5左0.8、100メートル走のタイム13秒20(※杏子調べ)。
……ていうか、あれだけスマホに写真入れてるのに、印刷までして持ち歩いてるのか。凄まじいほどの熱量だ。
「落としちゃったのかなぁ……わたしの深代先輩ぃ……」
杏子のじゃないけどね、うん。そう心の中でツッコミを入れつつ、わたしはやれやれと杏子の方に向き直って、探してあげようと試みていた。
そのとき、いつもの自信に満ちた声が響いた。
「困りごとかい?杏子くん!」
その声の主、それは……私の彼氏・国府田君だった。
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