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 終電を逃したのは、友人と風俗に行ってしまったからだ。酔った勢いで、入ったピンサロ。普段はそんなところへは行かないのに、就職祝いだと友人にそそのかされてしまった。今思えば、一時間待ちと宣告された時点で「付き合いきれない」と帰れば良かった。  しかし、酩酊していた私に的確な判断など出来なかったのだ。そこから二時間後、ことを終えた私は、時を同じくして店から出てきた友人と別れタクシーに乗った。普段から百数十円で移動できる距離を、何千円も払って送迎車に乗るのなどバカバカしいと豪語していたのに。  大阪市内では珍しくカラフルな車体のタクシーだった。若干違和感を覚えたが、手を上げたら止まったので、それはタクシーだと私は疑わなかった。それから私はきっちり運転手に目的地を告げたはずだ。どれだけ酔っていたとしても、自宅の住所を間違えるわけがないから。  流れ行くミナミの風景、うるさいくらいに明るいネオン街を抜けて、しんと静まり返った四ツ橋筋(よつばしすじ)へと車は抜けていく。酒を呑みすぎたせいか、ことを終えて体力を奪われたせいか、景色を眺めているうちに私の瞼がずっしりと重くなっていった。
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