そばに居られるならそれでいい

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俺、中森祐輔は9歳年下の女性と付き合っている。32歳で結婚したものの、たった2年で離婚。悠々お気楽、お一人様生活に少し寂しさを感じ始めたころ、莉子と出会った。 40間近のオッさんに20代後半という女性として脂の乗った時期の彼女はとてもじゃないが申し訳ないと思いつつも惹かれていく気持ちはどうも止めることはできなかった。 きっかけは俺が勤める会社のひとつのプロジェクトで他社も含めた勉強会だった。 参加者の中に莉子がいた。毎週決まった時間に行われるそれに真面目に取り組む姿に目を奪われた。 第一印象は“大人しそう”だった。 紺やグレーなど、落ち着いた色合いの洋服を着ていることが多く、髪も地毛らしい、黒。光の加減で焦げ茶色にも見えるそれは、きちんと手入れをされているらしくサラサラで、肩よりすこし長い髪を耳にかける仕草はとても色っぽく見えた。 とりわけすごく可愛い、というレベルではないけれど、控えめで、素朴で、さりげない可愛らしさを持つ女性だ。莉子と話す時間ーーー対、質問者と応答者というプライベート感のない間柄でのわずかな時間は、真剣に考えて疑問をぶつけてくれる彼女に申し訳ないが、下心でいっぱいだった。
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