そばに居られるならそれでいい

1/10
2293人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ

そばに居られるならそれでいい

「なあ、もうすぐ誕生日じゃん?プレゼント、何がいい?」 朝食を作る彼女に問いかける。彼女の誕生日まで2週間。付き合ってもうすぐ1年、初めて彼女の誕生日を迎える。 「プレゼント?んー、一緒に居られたらいいよ」 はい、玉子焼き。 彼女は俺の好きな少し甘めの玉子焼きをテーブルに置くと次にお味噌汁、ご飯を順に並べていく。 「あと、“おめでとう”って言ってくれれば」 背を向けていた彼女が、「あ、」となにかを思いついたように、くるりと振り返った。エプロンの裾がひらりと舞う。少しはにかんで付け足した。 「ケーキ、食べたいな。いちごがたくさんのったやつ」 無欲だ、と思う。 付き合ってもうすぐ1年になるのに、彼女の莉子はあまり俺に要求してこない。 もう少し我儘を言って欲しい、と思う反面、金以外の何かをねだられることに慣れていないせいか、新鮮で、どうすればいいかわからないのに嬉しくなったりする。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!