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小学生の女の子
4時過ぎ、唐突などしゃ降りの雨が振りだした。それと同時に、カランと扉の上に掛けてあるベルが鳴る。
そこにいたのは、赤いランドセルを背負った女の子だった。僕は、すぐにその子が誰なのかわかった。待っていた“あの子“だ。
名前は……明莉。
僕は、明莉のことを知っていても明莉は知らない。僕のことを。他人だからね…
「ちょっと待ってて。タオルを持ってきてあげるからね。」
僕は、急いでタオルを取りに行き濡れた明莉の髪をふく。
「ありがとう…」
少し顔を赤らめながらお礼を言う明莉。
「どういたしまして。体冷えてるでしょ。ココア作ってあげるから。」
そう言って僕は、キッチンに戻る。
明莉はカウンター席に座った。
子どもって高い所好きだよな…
メリーゴーランドとか1番高いやつに座るし
そんなところ全然変わんないな
僕は昔のことを思い出しながら、ココアを作った。
「どうぞ…ココアですよ」
「えっと……ありがとう」
「急な雨だね…家近く?」
「ううん…少し遠い」
「それじゃあ雨が止むまでここにいて良いよ」
明莉は何も言わず、うんとうなずいた。
そういえば、薫と出会ったときも急などしゃ降りの雨が降りだしたときだったなあ…
ココアを飲む姿の明莉を見る。
本当、薫に似ている…可愛いらしい。
明莉の世界は、幸せの世界
良かった。幸せなんだな明莉。
今の家庭は…
幸せな明莉にはもっと“生きていてほしい“
まだ、小さな希望のある“命“が有る限り…
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