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──Long ago story 6──
月日の流れはあっという間。
あれからお店の常連客として来るようになった薫。
僕からの告白で、恋人同士となった…
お互い過去の話をして気持ちが楽なった気がする。
決してその世界の籠から出れたわけではないが…
今でも薫は、緊張の世界にいる。
でも、今日味わう緊張は違う。
僕の身の前には、白いウエディングドレスを来た薫の姿がある。
「にっ似合ってる?」
「似合ってる。すごく綺麗だよ。」
そう、今日は僕達の結婚式なのだ。
「優太も様になってるよ」
「だから何度も言うなよ…恥ずかしいんだから…」
「ごめん、ごめん」
薫は反省してない顔で謝る。
俺は、この時薫に聞いた…
「薫…今緊張してる?」
「してるよ…緊張するわけないじゃん。でも、あの時のような緊張じゃない。幸せの緊張。」
「そっか…良かった。あっそろそろ時間だ行こっか。薫。」
「はい。」
僕達は手を繋ぎ式場へ向かった。
まるで無邪気な子どもの様に腕をぶんぶんと振りながら…
結婚してから2年。
僕達は小さな命を授かった。
「薫。動かずに座っときなよ…」
「いいの…」
そう言って薫は、お店のテーブルを拭いている。
僕が薫に告白したとき、一緒にお店を経営していきたいと言った。
その時薫は、とても笑顔で僕に抱きついた。
その夢も叶い、幸せの日々。
そう思っていると途端に薫が床に膝をつく。
「薫!」
僕は慌てて薫のもとへ駆け寄る。
「いっ痛い…」
陣痛のようだ。
急いで救急車を呼び運んでもらった。
それから1時間後。
小さな可愛い女の子の赤ちゃんが産まれた。
「うぅ…良かった、良かった」
「ふふ…優太泣きすぎ。」
「心配で、心配で…」
「初めて見た。優太が泣いているところ」
「こんな時にからかうなよ」
「ふふ…」
そして、2人で名前を考えて“明莉“という名前をつけた。
明莉の“明“は、明るい子に育ってほしいという意味。
“莉“は、莉だけでジャスミンという花の意味を表す。その中で黄色のジャスミンの花言葉である、優美な子に育ってほしいという意味。
意味合いどうり、明莉は明るく優美な子に育った。
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