Open

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──Long  ago story 1── 夕方、小雨の雨が降っていた。 お店をそろそろ閉める時間になる 時計を見て、7時になった瞬間、僕は外に出て “Open“と書いてある看板を店の中にしまう。 その瞬間、小雨だった雨が急変し大雨となる。 急いで中に入ろうとしたとき、 「すみません…雨宿りさせてください」 黒髪ショートの女性がそう言った。 服装を見た感じ、スーツを着ており社会人のようだ。 「風邪も引きますし…どうぞ中へ」 僕は、女性を中へ入れた。 「急に降ってきてしまって、同時に強い風が一瞬吹き、その瞬間傘が壊れ…」 「大丈夫ですよ…タオル持ってきますね」 タオルを取りに、店の奥へ入る。 今朝、乾かしたタオルを女性のもとへ、持っていく。 「どうぞ…」 「ありがとうございます」 「何か温かいもの飲みますか?」 「えっと…大丈夫です。今少し、金欠中なので少しでもお金を使わないように」 女性は、申し訳なそうに応える。 「お金は大丈夫ですよ。」 「いや……でも」 「大丈夫ですよ。」 「えっと…じゃあお言葉に甘えて…カフェオレをお願いします。」 「かしこまりました。では、こちらのカウンター席へ」 「はい」 僕は、女性が注文したカフェオレを作り始めた。 女性の世界は、緊張した世界だった。今日は初めての仕事だったのだろう。 それ以外でも、この女性は緊張と戦っている。 「どうぞ…カフェオレです」 「ありがとうございます」 「今日が、初仕事だったんですか?」 「えっ!何で分かったんですか?」 「あなたの世界は、緊張の世界です。表向きはいつも、元気で明るい性格。そのため、断ることが出来ない。どんな仕事も押し付けられる。早速初仕事で押し付けられましたか?」 「すごい…当たってる!そうなんですよねいきなり仕事押し付けられて…」 「でも…これだったら緊張の世界じゃなくて、断れない世界じゃないんですか?」 「えっ…」 初めてだった。僕が世界のことを話すと、いつもお前何言ってんだ?って顔をされる。 この女性は違った。 「えっ…と…」 確かに、この女性の世界は緊張した世界だ。 何故だ…なぜ緊張した世界なんだ。 うっすら、何かが見えるがぼやけている。 「その時の感情の世界が見えるんですか?」 「あっ…いやその時ではなくて、これまでどんな世界で生きていたのかが見えるんだ」 「そうなんでか…じゃあ何で緊張した世界なんだろう」 女性は、なぜだろう?と考えている。 自分も分からない。 「………分かりませんね。あっ雨止んでる。私そろそろ帰りますね。今度給料が入ったらカフェオレ代持ってきます」 「えっ…えぇ分かりました。」 女性を入り口まで見送り、その女性は頭を僕に下げたあと、たくさんの人がいる歩道へと歩いていった。
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