常連さん

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──Long ago story  2── 昨日の女性のことが何故か頭から離れない。 初めて僕の言ったことに、“は?“とならなかった。それが、嬉しかったのだろう。 でも、何故あの女性はいつも緊張と戦っているのだろうか。 やっぱり分からない。もっとあの女性と話せば分かるだろうか。 時刻は6時30分。今日来るだろうか。 けれど、給料が入ったらって言ってたな。 30分間、あの女性が来るのを待つ。 しかし、女性は来ることはなく7時になった。 「やっぱり…来ないか」 看板をしまうため、外に出る。 歩道の方を向き、あの女性が走って来てないか確認をする。そんな様子は一切ない。 看板をお店の中にしまい、扉の鍵を閉める。 明日の準備のため、奥の部屋に向かおうとした時、ガチャガチャと扉を開けようとする音が聞こえる。 僕はすぐに扉の方へ向かい、鍵を開ける。 「すみません。昨日のカフェオレ代持ってきました。すぐに返さないと忘れそうだし、たったの300円もすぐに返せないのもなんか…恥ずかしいというか…」 「どうぞ」 「だっ大丈夫なのに…」 「いや…ちゃんとお金は払わないと」 その女性は僕の腕を引っ張り、手のひらに300円を置いた。 「えっと…わっ分かりました。」 「あと…その…ここのカフェの常連さんになって良いですか?給料が入った日ぐらいしか来れませんが、その雰囲気が素敵だし、カフェオレも美味しかったので…」 「良いですよ。常連さんになってくださるのはとても嬉しいです。」 「ありがとうございます。そもそも常連さんになって良いですか?なんて聞くもんじゃないですよね。すみません」 「大丈夫ですよ。僕は嬉しいですから」 「そうですか、良かったです。あっそろそろ電車が来る。私帰りますね。さようなら」 女性は僕に大きく手を振り、歩道の方へと走っていた。 僕もその手を振り返す。 あの女性は仕事が終わるのは、7時前ぐらいなのだろう。 いつも7時に閉めていたが、あの女性のために閉めるのを、7時30分にした。
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