友達

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友達

ゆうとくんのお母様とゆうとくんがお店を出たと同時に、女の子3人組のお客様が来られた。 「いらっしゃいませ」 その女の子3人組の中の1人黒髪ロングの女の子の世界は、1人になりたくない世界。 女の子3人組のグループが出来ると、必ず誰かが1人になる。 例えば、「体育の授業で2人ペアをつくってください」と言われたとき、必ず皆仲良しグールプの人とペアになる。 その時、3人グループ場合、彼女は必ず1人になる子なのだろう。 「お好きな席へどうぞ」 3人は真ん中の窓側に座った。 座ってすぐに、 「すいません」 と、声を掛けられた。 「はい、メニューお決まりですか?」 「ランチセットお願いします」 「私も同じので」 「私は、パンケー…」 黒髪ショートの子が、パンケーキを注文しようとした瞬間、2人の女の子が一気に彼女を見た。 「えっと…ランチセットお願いします…」 「かっかしこまりました。少々お待ちください」 どうして女の子達は、同じものを注文したり、同じことをしないといけないのだろうか。 わざわざ合わせる必要があるのだろうか。 合わせることが本当の友達なのだろう。 友達というのは、お互いのことを話せる事だと思う。 相手の話ばかりでなく、自分の話しもしっかり聞いてくれる人こそが友達じゃないだろうか。 あくまでも、僕の考えだ。 そして、さっきの黒髪ショートの女の子の世界は、抜けたい世界。 この3人は昔からの仲良しグループなのだろう。 中々、このグループから抜けたくても、抜けられない。 彼女は、このグループから解放されたいのだろう。 そう思いながら、ランチセットの準備も終わり、彼女達のもとへ運ぶ。 「お待たせしました。ランチセットです」 「ありがとうございます」 黒髪ロングの女の子と、黒髪ショートの女の子が そう言って、軽く会釈する。 もう1人の女の子はケータイを取り出し、写真を撮り始めた。 正直、彼女の世界は見たくない。 そっと僕は彼女から目線を外した。 グループの中にいたとしても、人それぞれ思いは違う。 本当に一緒にいて楽しい人や、1人になるのが怖くて上辺だけの関係の人や、正直グループから抜けたい人だっている。 けれど、グループの中で1番思ってほしくない思いの人も中にはいる。 それは、グループのリーダーだ。 そもそもグループでリーダーが出来た時点で、そのグループは良い方向にはいかないだろう。 リーダーという立場で、安心している。 優越感に浸っているだけだ… 今来られている女の子3人組の、写真を撮っている彼女はそんな世界だ。 それから、ランチを食べ終えた3人の女の子達は会計を済ませお店を出ていった。 その時、黒髪ロングの彼女が苦しそうな顔をしていた。 彼女にとってあのランチの量は多かったのだろう。
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