悪魔である彼氏 ~アカラside~

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仕事をこなしながらも、考える。 考える。 自分が幾ら頑張っても、それは偽善でしかないのではないか。 自分では、天使では駄目なのだ。 下級の悪魔達でも安心してその手を掴めるような、強く立派な悪魔でないと。 但し、強く立派な悪魔なんてものが存在したら、今度は天使が黙ってない。 中立機関であるクロス・ピース所属の悪魔ならば天使のお偉方さん達も理解してくれるかもしれないけれど、そもそもクロス・ピースにはほとんど悪魔がいないのだ。 ……幼なじみの彼、ヒロの顔が浮かんだ。 ……いや、駄目だ。 クロス・ピースに所属する悪魔を悪魔達は認めるだろうか。『天使に寝返った反逆者』としかみなさないだろう。 彼が同族に責められるのなんて、自分が我慢出来ない。 自分なら……? 自分が悪魔になったとしても、両親、上司達だって、この気持ちを話せばきっと分かってくれる。 勿論『今から悪魔になってきます!』と言ったところで全力で止められてしまうだろうから、事後報告になるけれど。 ひととおりの仕事を終え、切りのいいところで。 没収して持っていたあの薬と向き合う。 先程の白目を剥いていた兄が浮かぶ。……怪しげな薬なのだから、それは仕方ない。 誰かが踏み出さなければ世界は現状は変わらない! えぃやっと勢いよくコンバージョンを呷る。 同時に身体中がゾワゾワッとして、全身が痺れて、そしていきなり目の前が暗転した。
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