悪魔である彼氏 ~アカラside~

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それから、長い長い悪夢が続く。 痛いのか寒いのか暑いのか分からない、とにかく苦しい。 浅はかで軽率だった自分を何度も懺悔し、呪いもした。 もがいていると、全身真っ黒の等身大の自分が物凄い勢いで襲いかかってきた。 恐怖で目を瞑ると、喉の奥に焼けるような痛みが走った。 ……そして、現実に戻される。 声が出なくなっていることにはすぐに気がついた。 夢での激しすぎる恐怖による疲労と、そして突きつけられた残酷すぎる事実に目の前が暗くなる。 隊長が何か一生懸命に言ってくれているのは分かってはいたけれど、頭に入ってこなかった。 お医者さんが鎮静薬を処方してくれて、ようやく少し休むことが出来た。 馬鹿なことをしてしまった、取り返しのつかないことをしてしまった、後悔の念でいっぱいだった。 自分の願いを自分でぶち壊してしまった。 怪しげな薬だということは十分過ぎる程に分かっていたことではないか。 そんな中で見た夢うつつ……まだ小さいヒロが泣いていた。 思わず手を伸ばして彼の両肩に手を置く。 彼は最初は戸惑っていたものの、照れくさそうにニカッと笑ってくれた。 その笑顔が今の自分には嬉しくて、愛おしすぎて泣いてしまう。 『俺、アカラは笑ってるほうが好きだな』 そんなませたことを言うから、思わず彼の顔を覗こうとして……気がついたら彼はいつもの、自分がよく見知った彼になっていた。 愛おしい笑顔のままで。
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