『なんだって、こんなことに』

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『なんだって、こんなことに』

「は? こんばーじょん? ……ナニソレ。こんばんはのニューバージョンか?」 「や、そっちこそナニソレ。 あれ、ヒロ知らない? 属性を転換させることが出来るらしい魔法の薬なんだって、『コンバージョン』」 もう黄昏時、という時間帯。 自分がいつも時間を潰す場所ことモンキーポッドの巨木の陰にてまどろんでいると、待ち人ではなくその上司であるアオがやって来た。 彼女は若くしてクロス・ピースの副隊長のお姉サンだ。 なんでも今はそのコンバージョンとかいうので立て込んでいるらしい。 「や~……その眉唾物の魔法の薬に、もう今日一日で何件通報やら相談やらがあったことか! 第一報は昨日だったんだけどね、も~うイッキに爆発的に広がったって感じ。 そういう情報って本当早いよねー。 で、ヒロも知ってるかと思ったんだけど」 「知らね。 興味ねえな、あんまり。 むしろ不快感しかしねえや」 自分は悪魔として生まれた。 目の前のアオを見れば、天使の輪と純白の翼が夕陽に照らされている……なんだか眩しい。 思わず目を伏せる。 「……そっか。 ま、とにかくそんなこんなで、今クロス・ピースはひっくり返ってるからさ……アカラ、今日は終わるのが遅くなると思うよ? まだ出先から戻らないの。 あんたいつもここで待ってるでしょ、気になって。伝言に来てやったんだからね」
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