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ただ、アカラに引っ張りまわされて奴の後をついていくうちに、世間に関する自分の考え方は徐々に変わっていった。 少なくともアカラの両親もそうだけれど治安維持部隊の面々は、自分を軽視してくるような天使達ではない。
「あら、ちょっとごめんなさい。 ……はい、こちらアオです、どうぞ」
アオは隊員の制服である白いチュニックの腰につけている小さい鞄から、手の平サイズの通信機を取り出して応答した。 アカラの帰りが遅くなるのはたまにあることだし……近くの出店で何か甘いものでも買って出迎えてやろうか、などと考えていたら。
「……えっ……、ちょ、隊長、……本当、なんですか……いえ、いえそういう訳ではないですが、まさか……いや、そんな……」
なんだかアオの返事の歯切れが良くない。 なんだからしくないな、と思って目をやると何故だかアオと視線がぶつかった。
「……?」
「……はい、今ここに。 ……はい、はい、では彼を連れて至急そちらに向かいます。 ……はい、承知しました。 では失礼いたします」
彼女が通信を終えたので聞いてみる。
「何かあった……」
「行くよヒロ! 転移するからしっかりつかまってて!」
自分が言うより早く、先制されて腕を強引にグイッと引かれた。 疑問に思う暇もなく、彼女は聖なる力にて空間転移を行使する。
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