第一話「可愛い拗らせ女」

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第一話「可愛い拗らせ女」

「佐倉さんって、お世辞抜きで可愛いよね」 「え、これ中学の写真?この頃から既に完成されてるじゃん!」 「どうやったらそんなスタイル維持できるの?いい感じに細いよね」 「顔だけじゃなくて声も可愛いとか、ホントズルい!」 「それだけ可愛かったら、モテまくりで大変なんじゃない?」 そうなんです。私、可愛いんです。 佐倉(サクラ)美音(ミオ)二十二歳、小さい頃から可愛い可愛い言われ続けて現在。 中学でも高校でも、校内で一・二を争うって言われてきた天然美女。美しいってよりは可愛いって感じの見た目だけど、それでも全然いいもん。 「可愛いよね」って言われて、私「そんなことないよ」って言ったことない。だってこれって、親からもらった大切な宝物でしょ? 親でさえ「ウチの子なんでこんなに可愛いんだろう」って首捻る位なんだから、他人から見たって可愛いに決まってる。 背が高くないから太ったら悲惨だし、スタイル維持の為にウォーキングとかストレッチとか頑張ってるし。好きなものだって、食べるの我慢する時もある。 流行りのファッションとか髪型とか、メイクだって似合うの探したり努力もして。土台が完璧なんだから、それにプラス加えたらもう怖いものなんてない。 きっと私のこれからには、幸せしかないはずだもん。 だって、私可愛いんだから。
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