670人が本棚に入れています
本棚に追加
/319ページ
第一話「可愛い拗らせ女」
「佐倉さんって、お世辞抜きで可愛いよね」
「え、これ中学の写真?この頃から既に完成されてるじゃん!」
「どうやったらそんなスタイル維持できるの?いい感じに細いよね」
「顔だけじゃなくて声も可愛いとか、ホントズルい!」
「それだけ可愛かったら、モテまくりで大変なんじゃない?」
そうなんです。私、可愛いんです。
佐倉美音二十二歳、小さい頃から可愛い可愛い言われ続けて現在。
中学でも高校でも、校内で一・二を争うって言われてきた天然美女。美しいってよりは可愛いって感じの見た目だけど、それでも全然いいもん。
「可愛いよね」って言われて、私「そんなことないよ」って言ったことない。だってこれって、親からもらった大切な宝物でしょ?
親でさえ「ウチの子なんでこんなに可愛いんだろう」って首捻る位なんだから、他人から見たって可愛いに決まってる。
背が高くないから太ったら悲惨だし、スタイル維持の為にウォーキングとかストレッチとか頑張ってるし。好きなものだって、食べるの我慢する時もある。
流行りのファッションとか髪型とか、メイクだって似合うの探したり努力もして。土台が完璧なんだから、それにプラス加えたらもう怖いものなんてない。
きっと私のこれからには、幸せしかないはずだもん。
だって、私可愛いんだから。
最初のコメントを投稿しよう!