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小腸高校
主人公を失ったこの物語は、その後本来の流れのままに進行していった。主人公とは流れに逆らう性質を持った人物のことなので、それが排除された世界では、つつがなく既存のシステムが作動するのだ。
だからここから先はただありきたりな子供達の運命を辿ってゆく。その登場人物の中には「ももちゃん」という、唯一名前の付けられたキャラクターが存在するが、主人公がいなくなった時点で、その固有名詞は特別な意味を持たなくなった。
受験勉強と、居場所に居続ける為の振る舞いという栄養の搾取によって、彼等は主人公という、問題意識の最後の頼りを忘却していった。
彼等には自由意思が残されていなかった。ただ化け物によって搾りかすにされるのを受け入れていた。
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