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それから十数年後。
あの日以来、小説を書き続けてきた女性は、世間に名の知れた一流の作家となっていた。
売れっ子作家として多忙を極める毎日。今日はとある小説投稿サイトで開催されたイベントの特別審査員として招かれていた。
「――以上の十作品が予選を通過した作品です」
「この中から大賞と特別賞を選べばいいわけね……あら?」
ふと、女性の目はある四文字で留まった。
『待木万世』
「まちぎまんせい……まちきばんせい……たいき、ばんせい……」
作者名に聞き覚えのあった女性は、 その作者のページを開いてみた。
『どうも。待木万世(たいきばんせい)です。私の物語を皆様と共有することができてとても幸せです。』
『代表作…テンセーショナル・ファンタジア<全10巻>』
『構想20年! 今流行りの異世界転生物の先駆け的作品! あの十六夜小夜美先生も大絶賛!』
「……フフ」
「十六夜先生? いかがされました?」
「ああいえ。ようやく続きが読めるんで嬉しくって」
<完>
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