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教室には居残りの満夜と、それに付き合っている凜理しかいない。
「芦屋さん……は、どっちですか?」
満夜は首を傾げた。こう見えてもオカルト研究部部員増員活動で、同級生の顔は一応覚えている。そのどれにも当てはまらない少女だった。
「見たことない顔だな」
思ったままを口にしたら、少女が肩をすくめた。
「あの……ッ、入学式の時にチラシを配られてた先輩ですよね?」
満夜は椅子に座ったまま、教室の入口に立つ少女を見つめた。
「そうだが、何の用だ。見ての通り、いまは雑事で忙しい。急ぎの用なら、まぁ、時間を割いてやってもいいぞ」
相変わらず偉そうである。
「満夜は赤点居残り中なんや。忙しゅうも何もあらへん。なんの用なん?」
「ば、ばかもの! オレは雑事に手間取って……!」
満夜がしれっと後輩に話しかける凜理の言葉を遮った。
「赤点……?」
後輩の少女が首を傾げる。
「ばか! 数学などで、オカルトという高尚な学問は紐解けないのだ!」
「それで何の用なん?」
凜理は満夜を無視した。
「実は……、身代わり観音って知ってますか?」
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