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一 オカルト研究部へようこそ!
時は春。平坂高校にも、新入生が登校を初めて一ヶ月! きっと我が弱小クラブにも入部希望者ゾロゾロ!
「のはずなんだぁあ!!」
今年の春で、晴れて高校二年になる芦屋満夜は叫んだ。手には白紙の入部届が握られている。
一年生の教室の前で叫んでいる姿は不審を通り越していっそ清々しい。
中肉中背、低すぎない背丈に悪目立ちしない目鼻立ち。いわゆる地味。成績も中の下。可もなく不可もない。クラスでも目立たないはずだが、ある意味有名だ。それには理由がある……。
「もう諦めへんの。満夜」
従姉妹で同級生の薙野凜理がため息を吐きながら、満夜の肩に手をかけた。神秘的な青みがかった長い黒髪、まつ毛にけぶる、少し釣り気味の大きな目。瞳は闇を映したように黒い。すっと通った鼻に赤いさくらんぼのような唇は、天然ものだ。頭も良くて運動神経にも優れている。凛理は正真正銘、クラスの男子の憧れの的であり、いい意味で目立っている。
すらりとした容姿にセーラー服がよく似合っている。
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