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新入生の目はそんな凜理に注がれているが、手に持つ入部届はやはり白紙だ。それもこれも、横に立つ満夜が割って入って来るからだ。
「オカルト研究部にようこそ! さぁ、君も呪符を書いて式神を操る立派な術師になろうじゃないか!」
などと叫んできたら、それは逃げる。いくら、凜理が可愛くても。
「あんたが、そうやって割り込んできたら、入部するもんも入部せぇへんよ」
「いや、オレがどうあれ、凜理目当てであれ、真に興味があれば、入部してくる!」
「はぁ~」
道夜の言う【オカルト研究部】は、非公認のクラブだ。なにしろ、部員は満夜と凜理しかいない。凜理すら嫌々入っているくらいだ。
「あたしは、あのことさえなかったらあんたに付き合うのも嫌や」
「退部したらわかってるだろうな」
二人のやり取りは不穏だ。
「秘密をバラすからなぁああ」
満夜が唯一凜理に強気で出られる秘密。それを握られている限り、凜理は満夜のオカ研から退部できない。
「それに、凜理は大事な研究対象だから、退部されると困る」
満夜は真顔でそう言うと、部室とも言える用具室へ向かった。
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