序章 鳥と宝石の伝説

1/1
68人が本棚に入れています
本棚に追加
/23ページ

序章 鳥と宝石の伝説

鷲の瞳が赤く染まる時、世界は炎に包まれる。  欲深き王の、濁った瞳に映るのは、恐れか憎しみか、はたまた執着か。  強く握られた両手には、雲の涙の如く煌めく金剛石。  血に染まり、涙に濡れ続けてなお、清く輝き続ける金剛石。  鷲の翼がはためき、力強く大地を叩く。  砂漠は空を無くし、灼熱の紅だけが、王の身を焦がす。  鋭い爪が、王の強欲を掻き切る。  その爪が、その手の宝を奪い去る。  金剛石を、奪い去る。  辺りに舞う紅は、炎か、はたまた人の血か。  鷲の双翼がはためき、力強く炎を叩く。  ただ、上を目指して。青くどこまでも広がる、空を目指して。  鷲は羽ばたく。金剛石を手に。  どこまでも遠くへ、どこまでも上へと。  誰も知らない。その鷲の行方を。  これは、灼熱の砂漠に伝わる、忘れ去られし物語。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!