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六章 六日前
心霊写真を作ろうと思えば今はアプリでも作ることは出来る。咲子からラインで送られてきた浩紀の写真もそうに違いない。そう思いたいものの、電話口で取り乱していた咲子の様子は尋常ではなかった。
『浩紀の顔が消えたの! 撮った時はあったのに今見たら……』
俺は咲子から送られてきた写真をスマートフォンに表示させ、浩紀の顔があったはずの場所を指でなぞった。
考えないようにすればするほど、フラッシュメモリの中の首切り動画が頭の中に流れる。
咲子はフラッシュメモリを捨てた方が良いと言ったが、この動画をなかったことには出来ない。いや、耳の奥に残る首の落ちる音がなかったことにさせてくれないと言った方が正しい。
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