悪魔の様な後輩

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不釣り合いな音がしたから料理ばかり見つめて食べていた俺は思わずやつの方を見て固まる。 蛇が俺を冷たい目で見ていた。 その途端一気に冷気が漂って真冬のような寒さとなり凍える。 「先輩は残酷な事を言うね。」 ゆっくりと落としたフォークを取った蛇の目には光が入っていない。 何処かで警告音が鳴る様な気がした。 コイツを怒らせてはいけない… きっと良くない事が起こるって。 「ちゃんと俺の好きが伝わってなかったのかなぁ。こんなにも愛しているのに。」 丁寧に、丁寧にフォークとナイフを使って肉を切っている姿は綺麗なだけの筈なのに何だか寒気がする。 何か言わねぇと… 『…あ、いやそうじゃなくて』 「じゃあどういうこと。」 まるで睨みつけられた蛙みたいに俺の背中に嫌な汗が止まらず流れる。 何か… そうだ。 『っ俺じゃ不釣り合い…的な?』 さっきもコイツが言ってた通りに俺は洗濯こそ出来るが滅多にやらなければ掃除は必要最低限しかしない。 勉強もそこそこ、取り柄は運動神経が良い事しかない。 『何より傷だらけだし性格も良い方とは言えねぇし…』 それで付き合う相手にゃいつもキレられるから最近はセフレしか作らなかった。 「先輩…何言ってんの?」 ふと急に先程まで下がっていた気温が元に戻った気がした。 「先輩は可愛いじゃん!」 『…うわ、キモ』 「キモくない!」
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