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10時。コンクールが始まった。
1組から順番に演奏が始まる。
皆レベルが高い。
そんな中特に、同じピアノ専攻の人たちの演奏をまじまじと見る。
心奪われる音色。手元や表情は見えないが、後ろ姿でも分かる。
皆演奏を楽しんでる。
そして、1組の演奏が終わった。
次は、2組だ。
最初に演奏するのは美乃里。
私は、美乃里のもとへ向かう。
美乃里の手は震えている。
私は、美乃里の背中を叩く。
「痛、向日葵!」
「ごめんごめん。でも、少し緊張ほぐれてでしょ?演奏も大事だけど、笑顔も大事だよ。」
さっき美乃里が私に言ってくれたことをそのままお返しする。
「あっ、うちのセリフ……まぁありがとう向日葵。じゃあ行ってくるね」
美乃里は、アナウンスとともにアクティングエリアに向かった。
相変わらず、性格と異なって切なくて、何故か救いの手を伸ばしてあげたくなるような音色。
初めて聞いたときは、驚いた。
もっと心明るくなるような、音色だと思っていた。
でも、この音色が美乃里にはあってる気がする。
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