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そして、上条先輩に連れてこられたのは、初めて出会った、練習棟3の1番奥の練習室。
「どっどうしたんですか?」
「…………好きだ!」
「えっえぇ!きゅっ急に言われても……」
「お前の……ピアノの音色に恋をした…」
「え?」
告白だと思ったら、私のピアノの音色に恋をした?
“好き“とか急に言われて意識しちゃったじゃん…
「えっと……それで?」
「手伝ってくれないか?」
「何をですか?」
「作曲の手伝いを」
「作曲の手伝い?」
上条先輩ってプロのバイオリンにストを目指してるんじゃないの?
何で作曲の手伝いなんか……
「でも、上条先輩ってバイオリン……」
「バイオリンなんてどうでもいい……俺は、バイオリンなんか大嫌いなんだ!」
上条先輩は、声をあげて言った。
本当にバイオリンが嫌いなんだと伝わる。
「すみません…えっと、手伝います。作曲」
「本当か?ありがとう」
上条先輩は、満面な笑みを見せた。
いつも無表情の上条先輩の笑みに可愛いと思ってしまった自分がいた。
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