animato

2/12
前へ
/185ページ
次へ
その音色に誘われるように、どこから音が聞こえてきてるのかを探す。 「ここだ…」 私は歩き回って見つけた。 場所は、練習室の1番奥の部屋。 人気が少ない所だった。 「あの音色だ」 私は、恐る恐る扉を開いた。 そこには、美少年と言っていいほどの、顔がとても整った先輩がバイオリンを弾いていた。 髪色は黒で、ふわっとしたショーとの丸型ヘヤー。 先輩は、私に気付き演奏を止めた。 「ここ、個人の練習室なんだけど。勝手に入らないでもらえる」 「あっ…すみません。」 そうだ、ここは個人の練習室だったんだ。 凄い失礼なことをしてしまった。 私は、すぐに頭を下げて謝った。 「謝ったなら出ていって。練習の邪魔だから」 「あの……1つ良いですか?」 「何?」 「先輩って、5年前のWinterバイオリンコンクールに出ていませんでしたか?」 「人違いじゃない。俺、そんなコンクール出てないから。」 「え、でも……」 絶対さっき聞いた音色は、私が昔聞いた音色だ。 間違えるはずがない。 先輩は、5年前のWinterバイオリンコンクールに出ていはず…
/185ページ

最初のコメントを投稿しよう!

29人が本棚に入れています
本棚に追加