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その音色に誘われるように、どこから音が聞こえてきてるのかを探す。
「ここだ…」
私は歩き回って見つけた。
場所は、練習室の1番奥の部屋。
人気が少ない所だった。
「あの音色だ」
私は、恐る恐る扉を開いた。
そこには、美少年と言っていいほどの、顔がとても整った先輩がバイオリンを弾いていた。
髪色は黒で、ふわっとしたショーとの丸型ヘヤー。
先輩は、私に気付き演奏を止めた。
「ここ、個人の練習室なんだけど。勝手に入らないでもらえる」
「あっ…すみません。」
そうだ、ここは個人の練習室だったんだ。
凄い失礼なことをしてしまった。
私は、すぐに頭を下げて謝った。
「謝ったなら出ていって。練習の邪魔だから」
「あの……1つ良いですか?」
「何?」
「先輩って、5年前のWinterバイオリンコンクールに出ていませんでしたか?」
「人違いじゃない。俺、そんなコンクール出てないから。」
「え、でも……」
絶対さっき聞いた音色は、私が昔聞いた音色だ。
間違えるはずがない。
先輩は、5年前のWinterバイオリンコンクールに出ていはず…
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