Prolog

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私が小学4年生の頃、お母さんに連れられバイオリンの演奏会を聞きに行ったことがあった。 何人もの演奏者達が出て演奏する中、1人だけ気になる人がいた。 これまで出てきたのは、大人の奏者達。 けれどその人は、私と同じ小学生の男の子。 見た感じでは、私より年上…… そして、彼が演奏を始めた瞬間、背筋が伸びた。 誰もが彼の演奏に目が奪われた… 小学生とは思えない迫力のある演奏。 けれど何より目を奪われたのは、その音色。 迫力があるのにどこか切なくなる音色。 彼の演奏が終わっときには、私は泣いていた… 今でも、彼の音色が頭から離れない。 “もう1回聞きたい“私はそう思っている。 だから私は、高校生になっても彼のバイオリンの音色を探している。
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