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※
まずはコーヒーを一口、含む。
酸味弱め、しかし苦味よりコクが強め。好みの味だ。うん。
そして茶封筒。
なんなの。コーヒーを味わいながら、封筒を見つめている、今。マスターはこちらをまるで気に掛ける風もなく、豆を補充している。なんなの?
見つめていてもしょうがない、と意を決して封筒を開くと、三つ折りの印刷物が1枚と100円玉がひとつ入っていた。
【◎◎神社 御由緒】
市役所から西に1kmほど行った場所にある神社のパンフレットだった。
そう大きくもないけれど、観光資源に乏しいこの市では一応観光スポットのひとつとして、各所で名前はよく見かける。
パンフレットを開くと、神社名とご祭神、歴史、そして境内の地図が印刷されている。そして、境内図の一角を指すように緑のマジックで矢印が書き込まれていた。
次はここに行けということか?
"お受け取りには丸1日かかります"とはそういうことか?
ここまで来たら行くしかない。冷め始めたコーヒーを一気に飲み干した。
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