ネジが外れていた時代3

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ネジが外れていた時代3

ae7e4ed6-f6ed-4ca3-8e3d-25d597344032  いい  いいよ登坂さん  ということで、ネジが外れていた時代です。  青春書くつもりだったんですけど、こっち押してました。  てか、なんでこんなにプライベート明かしてるんだろう。  まあ、いいか。初秋のセール期間だと思うことにしよう。意味不明。    昨日ね、仕事中にチョコ12個食べてました。帰ったら鼻の頭に吹き出物ができてました。  今、DJラブみたいになってます。  マスク万歳。  はい。  皆さん、  早よ寝てください。 『東京』  こんな段ボールを掲げて、県道際になんと三時間。やっとこさトラックが停まってくれました。今ならもっと停まらないんだろなぁ。  既にヘトヘトでした。  これがいかんかったとです。 「兄ちゃん、東京行くんか?」 「いや、京都でいいでっす」 「よっしゃよっしゃ!」  よっしゃよっしゃ!の意味をまだ青かったわたしは汲み取れていませんでした。  乗せてくれたのは、めちゃめちゃかっこいいおじいちゃんでした。でも、車内ではずっと小室サウンドが流れていました。それだけは覚えてる。  てか、それだけしか覚えてない。  寝てたとです。  目が覚めたら、すっかりのしっぽり夜でした。 「おい、起きたか? いきなり寝たな。うははー」  目を擦りました。  黒い空に『美合PA』の文字が浮かんでいる。  どこよ、これ。 「すみません、めちゃ寝てしまいました。どこですか、ここ?」 「愛知やな」 「アイチ?」 「愛知」 「アイチ?」  想定外で、あの時、「愛知」が頭に浮かびませんでした。なんだ、アイチって?  トイレに行って、コーヒー奢ってもらって、ふうと助手席にまた乗せてもらいます。 「行くど、兄ちゃんよ」 「あいよっ!」  何があいよっ!なのか。  大ピンチに全く気づかない木緑。  車内に鳴り響くgloveのDEPARTURES。どこまでも~かーぎりなく~♪  かなりシュールな歌詞にも気づきませんでした。  突然のことでした。  おじいちゃんと談笑していたわたしは、道路看板を見て超でっかい声で叫びました。 「は、浜名湖ーー!」  びっくらぽんのおじいちゃん。 「どしたんや。浜名湖がどうかしたか」 「静岡ですやん」 「おう、静岡や。朝までかからんぞ」 「京都は? 過ぎましたか?」 「バス停ちゃうど、こりゃ。兄ちゃん地理できんみたいやな。俺でも大学いけらあ」  うははーとおじいちゃんは笑っていました。笑いごとでないわたしは、つられて、うははーと笑いました(いや、笑うんかよ)。  バスならピンポン押して、次降りますとしたいものですが、車内にはボタンなどなく、何故か置いてあるけん玉しかない。  まずい、遠ざかっとる。反対方向に。  ヤバい。  真面目な顔でおじいちゃんを見ました。何故か片手にけん玉を握り締め、失礼ながら言いました。 「京都帰りたいです」 「なんじゃあ、そら。わがまま言うな。東京まで飛ばしてやっとんのに」 「へへぇ、おっしゃる通りです」 「なんや、兄ちゃん。東京やなくて京都行きたかったんか?」 「へへぇ、おっしゃる通りです」 「なんで東京なんか書いたんや」 「もはや分かりません。5時間前の自分の首根っこ掴んで問いただしたいす」 「うははー」 「うははー」 「ほんじゃ、次で降りたろ」  静岡で降ろしてもらって、引き返す。だが、どうする? 停まってもらえないと静岡に友達はおらん。野宿してて富士山噴火したらどうする? 「目的地、東京ですか?」 「川崎や」 「神奈川の?」 「おう」 「じゃあ、そこまで乗せてもらって良いですか?」 「いいんか?」 「いいっす」  その後、二人で安室奈美恵を唄いました。  かくして、わたしは東の京都、東京へと行くことになりました。  うははー。  てか、この回で東京着かねえのかよ、と思った読者の皆様。  すみません_(._.)_  わたしもすぐ着くと思って書きましたが、思い出が溢れてきて、そういやこういうエピソードあったな、と。  次回、今度こそ山城木緑、星那(せいな)になる~入学式以来のスーツをホストクラブで着ることになろうとは~  はよ寝てくださいね。  ごきげんよう❗
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