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シャワーヘッドから流れる水がお湯に変わってもなお、2人はお互いを愛撫し続けていた。 モデルだからなのか、中島の体は大変スリムだった。薄く見える腹筋や、神様の唾みたいに神々しく白い足。しかしその裏にある尻はどこまでも指先を落とし込むような柔らかさがあり、お椀のような乳房のてっぺんには熟れたようなさくらんぼが乗っている。恥ずかしいと言いつつも中島は身を委ねてくれた。 それぞれ髪や体を洗い、その日の汚れを落とした2人は再び抱き合う。自分がどこを汚したっていいのだ。後ろから彼女を包み込み、反り立つ肉樹が大きな桃の上にその身を置く。右手の中に収まった乳房を回すように揉み、左手を中島の秘部へ伸ばした。整った陰毛の先に到達する、彼女の膣は既にぐっしょりと湿っていた。 「結構濡れてるじゃん。」 「これはあれ、まだ洗い流してない、やつだから。」 ぷいっと顔を背ける中島だったが、指先を濡らす感触は間違いなくボディーソープなんかではない。どこか認めたくないであろう彼女を暴くかのように、彼女の平面をなぞった。 「あっ、ダメ…。」 すぐに自供する犯人のようだった。ひどく濡れているなだらかな坂を何度か往復するだけで、彼女は切ない声を漏らしていく。この反応が今の菊地にとって何よりも嬉しいことだった。 坂の上にある小さな頭に触れた。彼女の粘液で既に自由な動きを見せる陰核を指の腹で抑え、薬指を彼女の小陰唇にあてがった。横浜のホテルに咲く赤黒い花弁は指先を逃がすような感触がある。我慢できずに菊地は中指を彼女の中に沈めていった。 「やだ…すごい気持ちいい。」 これほどまでに温もりのある感触に自分自身を進み込んでしまえばすぐに果ててしまうかもしれない、そんな恐ろしさがある彼女の膣内は指先をぐんと呑み込んで奥に誘い込んだ。身動きが取れないほどきつく締めて、中島は探るように菊地の体に触れた。 「ダメ、そんなに動かしたら…もういっちゃう。」 鶴嘴で岩を削るように指先を畝らせ、中島は深いため息を漏らしながら絶頂を迎えた。体全体が小さく痙攣している。余韻を味わいながら中島はゆっくりと振り向いた。 「研介、もう欲しい。」 そう言ってペニスを握り、中島は息を荒くしながら扱き始めた。淫靡に照るこの表情に、どこも偽りはない。フィルムには残せない温もりを感じながら菊地は唇を重ねて頷いた。
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