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メモ/プリン奉行
Glano-La~秘密と花嫁と~
作者:プリン奉行
No1.「救世主は正体不明」
〈気に入った表現〉
*まるで樹が縦横無尽にその枝葉を張り巡らせていくような立体感のある煙に、2人は冷や汗を走らせる。
*赤身なのに柔らかく、"人間よ、これが牛肉だ"と言わんばかりに存在感のある味わいと野菜からできたのであろう酸味の効いたソースがよく合う。
〈登場人物〉
*先輩西田と清村
*被り物の男
耳の尖った、黒く細長い犬のような、ジャッカルのような闇めいた生き物が頭巾を被っているという、何とも奇怪な被り物をしていた。
*黒いリュックを背負った若い青年
*店主 屋良正明
*刑事2人
*警察官 三羽ガラス
黒沢辰巳 鈴木秀哉 錦田健一
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清村と西田が、100メートル先にある商店街の八百屋から煙の立っているのを発見したのは、昼の2時頃であった。
警察官の見回り業務を行っている最中に起こった出来事だったために、いや、"警察官としての自覚"が、彼らを現場へ走らせた。
一心不乱に走る清村と西田。
ああ、清村と西田はいかに必死に走ったことか。
だが、そんな彼らの目に奇怪な存在が映る。
『それは、耳の尖った、黒く細長い犬のような、ジャッカルのような闇めいた生き物が頭巾を被っているという、何とも奇怪な被り物をしていた。』
被り物の男は、どうやら煙の立つ、あの八百屋から、飛び出してきたようだった。
被り物の男とすれ違う清村と西田。
....つづく。
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ここで、物語の視点は、八百屋の店主、屋良正明に代わる。これは八百屋の煙霧騒ぎが一通り落ち着いたあとの出来事である。
事情聴取される屋良正明。事情聴取している警察官を作中では「警察官2人」と表現しているが、明らかに清村と西田である。
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そして、視点はまた代わる。
ここでは、清村、西田とはまた別の警察官、黒沢辰巳 、鈴木秀哉
、錦田健一が、『レストランたちばな』で仲良く話し合っている。
『レストランたちばな』は、八百屋の少し離れたところに構えてある。
どうやら、 3人は近々行われる結婚式の余興、その打ち合わせで集まっているようだ。
余興の話し合いの中で、黒沢辰巳が取り出したのは、
『"耳の尖った、黒く細長い犬のような、ジャッカルのような闇めいた生き物が頭巾を被っている"被り物』
そして、黒沢は自分が署を異動になることを、三羽ガラスのメンバーに、さらっと伝えた。
....つづく。
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〈特徴〉
一つの章に3つの視点が積めてあった。それはなんとなく、これから繋がっていって、やがては複雑に絡み合うのではないか、と想像した。
登場人物の心の中が、どのようになっているのかは、あまり描写されておらず、それを補うようにして、立体的な描写が細かく表現されている。
何が起こっているのかをしっかりとイメージさせて、ただ心情感情の変容は読者に委ねている。
シュールに淡々と出来事が進められている印象。
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