襲われてやるよ

5/5
前へ
/10ページ
次へ
「由美亜? 吐き気おさまったのなら、」 家まで送ろうか、と言おうとしたら。 「襲っても、良い?」 「あ?」 見上げてくる瞳が潤んでいる。 「酔ってるのか? って、今更か。酔ってるんだったな」 「酔ってない」 「それ、酔っ払いの常套文句だ」 「駄目?」 ・・・・・・は? 少し体を離して、改めて顔を見ると 涙ぐんで不安そうな、それでもしっかりと訴えてくる表情。 「由美亜?」 「前に来たときは、襲ってくれなかったから。・・・・今日は、アタシが襲う。駄目?」 チン、と音がしてエレベーターが到着した。中から若い夫婦が赤ん坊を抱いて出てくる。こんな夜中に、と不審に思った時には急ぎ足で去って行ったから、急に熱でもだしたのだろうか。 「みき、くん」 「乗れ」 エレベーターへと彼女の腕を引いて、6階のボタンを押す。 そして青灰色の壁に彼女の背中を押しつけて 「みき、」 紅い唇を塞いだ。 「襲われてやるよ。―― 覚悟しろ」 今度は、我慢しないから。 <続きは女性目線です>
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

260人が本棚に入れています
本棚に追加