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「由美亜? 吐き気おさまったのなら、」
家まで送ろうか、と言おうとしたら。
「襲っても、良い?」
「あ?」
見上げてくる瞳が潤んでいる。
「酔ってるのか? って、今更か。酔ってるんだったな」
「酔ってない」
「それ、酔っ払いの常套文句だ」
「駄目?」
・・・・・・は?
少し体を離して、改めて顔を見ると
涙ぐんで不安そうな、それでもしっかりと訴えてくる表情。
「由美亜?」
「前に来たときは、襲ってくれなかったから。・・・・今日は、アタシが襲う。駄目?」
チン、と音がしてエレベーターが到着した。中から若い夫婦が赤ん坊を抱いて出てくる。こんな夜中に、と不審に思った時には急ぎ足で去って行ったから、急に熱でもだしたのだろうか。
「みき、くん」
「乗れ」
エレベーターへと彼女の腕を引いて、6階のボタンを押す。
そして青灰色の壁に彼女の背中を押しつけて
「みき、」
紅い唇を塞いだ。
「襲われてやるよ。―― 覚悟しろ」
今度は、我慢しないから。
<続きは女性目線です>
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