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無数の銃弾が行き交える中、夜華は刀に手を掛け瞼を閉じた。数秒を数え――地面を蹴り上げ、狙い定めた敵との距離を瞬く間に縮める。
「クソ――ッ!」
引き金が引かれるよりも先に、夜華は一人の首を斬り落とす。夜華に向かって放たれる銃弾を掠めることなく裂け、夜華は次々に敵を狩って行く。
辺りは真っ赤に染め上げれられ、恐怖に満ちた悲鳴で満たされていった。
「--残りはお前独りだ」
刃先から血を滴らせる刀を振り、最後の一人へとゆったりと近づく。男の顔は絶望に歪み、縋るように両手で握りしめた銃の先は定まることなく震えていた。
「あ、悪魔め……ッ!!兄妹でチチクリあって気色悪いんだよ!!この穢れたクソ野郎――ッ!!!」
放れた銃弾を、夜華は身体を傾け避ける。プツリと、夜華の中で切れる音がした。すぐさま夜華から放たれる身を切る程の冷たい威圧感に、男は自らの踏んだ領域の重大さに気づき失禁する。
視線一つで何もかもを破壊するような瞳に見下ろされた男は一瞬で耐え切れず、意識を手放して地面に傾こうとしたが。
「おい、誰が気を失う事を許可した?」
男の首を鷲掴みにし、夜華は底冷えのする声を吐き出した。刃先を男の太腿へと向け、突き刺す。
「ああ、ああああああ……ッ!!!」
強制的に目覚めさせられた男は絶叫を上げ、瞳孔を開かせる。苦痛に満ちた涙を流し、掠れた声で許しを請うが夜華は死なない程度に喉を締め上げる。
はくはくと口を閉口させる男の口からは音のない息しか漏れない。夜華は差したままの刀を捩じり、傷口を抉る。
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