5.「代わりに打つ!」

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 どうしようとおろおろしていると、金髪の男子が、 「あーあ、スマホ落ちちゃった。壊れたらどうしてくれんの?」 と言いながら、スマホを拾い、 「あ、ほら、やっぱ液晶割れてんじゃん」 とわたしに画面を見せた。見事なヒビが入っている。わたしは青くなり、 「ご、ごめんなさいっ」 と深く頭を下げた。 「もちろん、弁償してくれるよね?」  スマホの弁償なんて、きっと高いに違いない。 「い、いくらですか?」  おずおずと問いかけると、 「8万円」 とびっくりな金額が返ってきて、わたしは呆然とした。そんな大金、持っていない。 「そんなにお金ないです……」  半泣きで答えたら、 「彼氏、持ってないの?」 今度は梶君に矛先が向いた。  黙って会話を聞いていた梶君は、おもむろに口を開くと、 「そのスマホ、最初から壊れてましたよね。ぶつかって落としたふりをして、相手を脅して弁償させる、いわゆる詐欺ですよね」 と断言した。金髪の男子と、その両側の不良男子2人の目が鋭くなった。 「そっちからぶつかってきて、物を壊しておいて、よくそんなことが言えるな」 「……いや、ちょっと待て、お前どっかで…………」  噛みつこうとした金髪の男子を、開襟シャツの男子が止めた。梶君の方へ顔を寄せ、じっと見つめる。梶君は身を引いたけれど、開襟シャツの男子は、梶君の髪を上げるように頭を掴んだ。
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