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「そういえばさ、もうすぐ、蒼井姉妹の誕生日なんだって?」
階段を上り切ると、斎木君が思い出したようにそう問いかけて来たので、わたしは目を丸くした。
「どうして知ってるの?……あ、梨乃に聞いたの?」
「蒼井の友達に聞いた。それで、蒼井姉に相談したいと思ってたんだけど、蒼井が欲しがるものって何かな?あいつ、何が好きなのかな?」
真剣な表情で尋ねてきた斎木君に、
「さては、プレゼントだな?」
わたしは、ふふっと笑いかけた。
「うん。こっそり準備して、驚かせたいんだ」
「そうだなぁ、梨乃はオシャレだから、身に着けるものがいいんじゃないかな。髪が長くて、いつもアップにしてるから、バレッタとか」
「バレッタって髪留め?」
「そうそう」
「いいかも」
斎木君が考え込むような表情をみせる。
「週末に、ショッピングセンターに行って探してみるよ。アドバイス、ありがとう」
「斎木君が選んでくれたものなら、梨乃、何でも喜ぶと思うよ」
親指を立てて保証をすると、斎木君は「そうかな」と照れ臭そうに笑った。
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