6.「最初の読者だよ」

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「そういえばさ、もうすぐ、蒼井姉妹の誕生日なんだって?」   階段を上り切ると、斎木君が思い出したようにそう問いかけて来たので、わたしは目を丸くした。 「どうして知ってるの?……あ、梨乃に聞いたの?」 「蒼井の友達に聞いた。それで、蒼井姉に相談したいと思ってたんだけど、蒼井が欲しがるものって何かな?あいつ、何が好きなのかな?」  真剣な表情で尋ねてきた斎木君に、 「さては、プレゼントだな?」 わたしは、ふふっと笑いかけた。 「うん。こっそり準備して、驚かせたいんだ」 「そうだなぁ、梨乃はオシャレだから、身に着けるものがいいんじゃないかな。髪が長くて、いつもアップにしてるから、バレッタとか」 「バレッタって髪留め?」 「そうそう」 「いいかも」  斎木君が考え込むような表情をみせる。 「週末に、ショッピングセンターに行って探してみるよ。アドバイス、ありがとう」 「斎木君が選んでくれたものなら、梨乃、何でも喜ぶと思うよ」  親指を立てて保証をすると、斎木君は「そうかな」と照れ臭そうに笑った。
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