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「……わたし、今、小説を書いてたんだ。今度、文芸部で、小説を掲載した本を作るの。だから…………」
梨乃はどんな反応をするのだろうと、おずおずと告白をしたら、梨乃は目を丸くして、
「華乃が小説?」
と大きな声を上げた。
(あ、引かれた……?)
ドキッとして、にわかに心臓がドクドクと脈打ち始めた。
梨乃は、わたしが手に持つファイルをじっと見つめた後、
「――すごい、すごいよ!さすが、現代文、上位の華乃だよ!昔から、本好きだったもんね。うん、うん。小説、いいと思う!」
梨乃は手を叩いて、褒めてくれた。
「読みたいなぁ、華乃の小説。あたし、読みたい」
梨乃が目をキラキラさせて、わたしの方にずいっと顔を寄せて来たので、わたしはその勢いに押されて、思わず身を引いてしまった。
「ねえ、どんな話を書いてるの?」
興味津々の体で見つめてくる梨乃に、
「ホラーとミステリーと恋愛を混ぜた小説」
と答える。
「ホラーとミステリーと恋愛?何それ、面白そう!」
「読みたい読みたい」と無邪気に足踏みをしている梨乃を見て、こんなに興味を持ってくれるなんてと、驚きと同時に嬉しくなった。
「まだ完成してないの。完成したら、文芸部で本を作るんだ。文化祭の日に配るから、良かったら、梨乃ももらってくれないかな」
そう頼むと、梨乃は、
「もらう!」
と、万歳をするように片手を上にあげた。
「うわ~、楽しみだなぁ」
「ええと、だからね、これからこの部屋でも書いていい?」
おずおずと頼むと、梨乃は満面の笑顔で「もちろん」と頷いた。
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