4.「本を出さなくてどうするの!」

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 文化祭当日。わたしたちは漫画研究部と一緒の教室で、本を配ることになった。  カラフルなイラスト原画がパネルに貼られて展示されている教室は、華やかな雰囲気を醸し出している。原画は漫画研究部の部員が描いたもので、アニメ風の絵もあれば、少女漫画風、少年漫画風とバラエティに富んでいる。  その教室の一角で、松峰先生から受け取った、完成した本が入った段ボール箱を開けたわたしは、 「うわぁ、本当に本になってる……!」 と感動の声を上げた。  松峰先生が可愛い表紙をデザインしてくれたので、A5サイズの冊子は、まるで本屋で売っている本物の本のようだ。  梶君が一冊手に取り、パラパラとめくる。 「いい感じに出来てるね。俺たちも一冊ずつもらっておこうか」  「はい」と手渡され、初めて自分たちで作った本を、わたしは嬉しい気持ちで受け取った。
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