愛しのポメラ

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当時、私がまだ読み専だった頃、ある作家のブログを読んでいると、頻繁にポメラという単語が出てきていた。執筆用のツールらしいけれど何だろうと思って調べると、テキスト入力に特化したデジタルメモで、著名な作家も執筆に使っているという。それ以来、なんとなくポメラのことが気になっていた。  私の中で、漠然と「いつか恋愛小説を書いてみたい」という夢があったのだが、書かなければいつまでもそれは絵空事でしかなく、下手でも書いてみることが大事だと気づいた2年前、ポメラを買おうと決めた。テキスト入力に特化されている割には思い切りのいる値段で、家電チェーン店でドキドキしながら手に取った。それでも、本当に使えるかなと迷いつつも、購入した。  実際に使ってみると、ポメラはいわゆる昔のワープロのようなもので、機能もシンプルである。パソコンは、入力速度に変換が追いつかない時があるので、ポメラでの入力は個人的にはストレスフリーだ。コンパクトなので手軽に開けるし、原稿用紙の形式で画面表示できるので、作家になった気分でちょっぴり悦に入りながら入力もできる。  でも忘れてはいけない。ポメラが優れた作品を生み出すのではなく、作家が作品を創るのだ。実際にエブリスタに投稿できた作品もいくつかあるけれど、私のポメラの中にはボツ原稿もたくさんある。それでも、あの時思い切って買ったポメラが私の創作を後押しする一端になったことは間違いない。
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