新米書記の日常 双子と会長おまけのワンコ

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 妄想にふける有栖川は、さもこれから人を1人殺そうとしているような顔になっていた。  先程わずかに有栖川の視線を感じていた生徒会長は、隣の議長席からその顔を見てしまった。両膝に乗っていた双子の頭をポンポンと叩き、ホワイトボードを眼前にするヤクザを指さす。 「おい、美樹(みき)真樹(まき)、多分書記怒ってるぞ。ふざけて無いで自分の席座れ」  頭に乗る手をうざったそうに振り払った双子は、指された有栖川を見て、指先を口元に添えて考え始める。 「えー真樹どうする?」  美樹が天井を見ながら真樹に問う。まるで回答がわかっているような口ぶり。 「んー…アリスちゃん怒ってるなら戻ろっか」  ″ざーんねーん″  最後は二人とも息ぴったりで、同時に会長の膝の上から飛び降りた。    あ……ちょっと!!  やめないで!!  俺に癒しを!!  そしてネタを!!!  この顔は変態みたいにニヤニヤしちゃうの、堪えてるだけだから!!   全く怒ってないから!!! だから戻らないで!!!  有栖川は両手を出して引き留めたい気持ちでいっぱいだったが、ピクリとも動けない。  ……動いたら、今までの行動が水の泡だ。  ぴょこぴょこと軽やかなステップが2つ、有栖川の後ろを跳ねていく。  あ゛ぁぁ〜〜  そしてまた、マーカーを持つ手に力が入らず、全部の文字がヨロヨロと繋がっていった。 「書記……それは読めん」 「うるっせぇ!!」 (((うわ、怒ってる〜)))  さっさと、さっきの状態に戻せぇい!!
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