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「いえ、本当に怒ってませんので」
「……だって……美樹……真樹……泣かないで」
そう言って、ワンコが美樹と真紀の目尻から、指で涙をすくった。
泣かないでって……
こんなことされたら誰でも恋におちゃいますよ!?
罪なワンコ!
ほら、双子が見上げてますよ!
こういう時にだけ発動する有栖川の特殊能力、ホークアイ(黒バス見てる人ならわかるよね)でその一部始終を脳に記録していた。白くなったホワイトボードを延々と、機械人形のように消す。
「「そっか」」
いや、そっか……
って、反応薄すぎません?
このあとアフターファイブにGO、とまではいかなくとも(いってくれると大変興奮するが)もっとこう……
キュンっとか
トクンっとか
ドキっとか
ドスッ
「ぐぉっ……」
甘い効果音に何か汚い音が混ざった。
まるで闘牛に鳩尾を抉られたかのような衝撃。あまりの苦しさに、内臓からの叫び声を奏でながら、有栖川はホワイトボードに寄りかかる。
「「アリスちゃん、怒ってない?」」
なんだ、、双子か……
てっきりどこかの闘牛2匹が、俺の鳩尾に突っ込んできたのかと……つーかちっさいのに、なんという力……
まぁ、双子というのだから、リバ有りだよな。こう、力比べして勝った方が今日は上で……
ポワポワポワ〜……
と有栖川の脳内に情景が映し出されていく。
(ねぇ、真樹? 今日はやけに大人しいけどどうしたの?)
(だって……なんか力入らなくて……それに体が凄く熱くて…美樹……助けて)
(あれ本物だったんだ。真樹のお願いなら、僕容赦しないよ?……ってあれ? なんか僕も急に力が)
(………なーんて、実は同じの美樹にも飲ませてたんだよね……)
(え? 真樹? )
(ううん、なんでもない。美樹……一緒に良くなろ?)
ポワポワポワ……
みたいな!?
良いリバ思い浮かんじゃったよ!!
帰ったら直ぐ描かなきゃ!!!
鳩尾の痛みなど、FP (腐力)マックスの有栖川の前ではどうって事なかった。たとえ、3日寝ていなかろうと、鼻血が出ようと、血尿になろうと、腐力によって有栖川の精神は活力し、体は保たれていた。決して回復しているわけでは無い。まさにドラック。
もしBLが薬と同じであるならば、この歳にして、この男の体はすでに骨までボロボロになっている。そして、何年も牢屋にはいり、更生施設を経て、また牢屋に入る人生を送っていたに違いない。
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