新米書記の日常 双子と会長おまけのワンコ

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 抱きつく双子に、有栖川の眉間は更に深くシワを刻んだ。  この双子は 伊月(いづき) 美樹(みき) と 真樹(まき)で、同じ一年生だった。  栗毛のフワフワした髪の毛と、まん丸の大きなお目目。それが2人。揃いも揃って可愛らしい。  なお、一番可愛らしいのは身長である。抱きつかれると有栖川の腰くらいまでしか無い。まるで小学生くらいのミニマム感だった。小さな手足に、小さな頭。体に反して大きなものと言えば、ウルウルの瞳と足の間についたイチモツ(これも有栖川には内緒で)くらい。  有栖川に睨まれた双子は、少し額に汗を浮かべながら、瞳をさらに潤ませ上目遣いで有栖川を見上げる。  超絶可愛らしい顔をするその心根には、″超絶可愛い僕たちならば、男が無理な有栖川の新しい扉を開けるだろう″という恐ろしい計画を宿していた。 「「アリスちゃん……顔怖いよぉ……?」」  おっと……ヤバイヤバイ。  また妄想が爆発してしまった。ゆるゆるの妄想劇場の扉を慌てて閉めた。 「すみません、伊月(いづき)さん達。怒ってはいませんよ」 「えー美樹ってよんでー」 「真樹ってよんでー」 「そんな……」  馴れ馴れしいことできるわけが…… 「「やっぱ怒ってるの?」」  ウルウルと、大きな瞳に大粒の涙が浮かぶ。  ゔ……  そんな顔されると困る。 「いえ……そういうわけでは」  そんな顔されたら…… 「「じゃ、名前で呼んでくれる?」」  そんなウルウルの目でみられたら……  妄想が……    ゆるゆる…もといガバガバな妄想劇場の扉が、マタ開く。  ポワポワポワ〜 (せいちゃん、美樹だけズルイ!! 僕も高い高いしてよ) (……うん……) (ダメだよ真樹!! これは僕の特権なの!!) (…こら……順番……) (や、やだせいちゃん、下ろさないで!! これは美樹の特権なのぉ、ぅあああん、ぅあああん) (ちょ……美樹……) (ねぇ、せいちゃん、美樹だけずるいよぉ!! 早く僕もぉ、やっぱり僕はだめなのぉ? ぅあぁあん、うぁあん) (……真樹……)オロオロッ  ポワポワポワ〜  って何才設定だよぉわれぇ?!?  そのうち児ポで捕まっちまうよ!!!  でも良い!!!  大粒の涙に囲まれる、慌てたワンコ見たい!!!  幼稚園児をなだめる保育士さんみたいで……  
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