新米書記の日常 副会長と体育委員長

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 白熱した議題は副会長の抵抗があったものの、会長の妥協案で議決され収まった。  対して有栖川の鼻血は収まりを知らず、会長よりこの花園からの追放を命じられてしまった。  ※保健室に行けといわれただけ  こんな罪くらい1人で背負えるという主張は、有栖川のあまりの罪(出血)の多さに否決され、結局、副会長まで花園からの追放を課せられた。  ※付き添う事になっただけ  綺麗な装飾に大理石の床。コツコツと響く音は歩いているだけで気分が高揚してくる。どうして廊下だけでこんなにお金がかけられるのだろうか。  しかし、そんな学園の豪華さよりも、有栖川には気になる事があった。 「あの……副会長? これは?」 「これ、とは?」  有栖川の右手は鼻を抑えていたが、なぜか生徒会室を出た瞬間、左手がさらわれ、そのまま副会長に引っ張られながら進んでいる。  いや、これ(左手)だよ。 「あの……」 「んー……既成事実?」  鼻を押さえたまま、不思議そうな表情を浮かべる有栖川に、飛鳥は軽く笑みを添えて答えた。事実手を繋ぎたかったとしか伝えようがない。  直接言うのが小っ恥ずかしく、少し言葉遊びをしてしまったが、有栖川にそんな気遣いは逆効果。  なんの?  おてて繋ぎたい人間違えてませんか……  古谷先輩とおてて繋ぐ練習なのかな……  でもこんな一般人で練習しなくても。副会長ならよりどり緑だろうに。  しかも日本語の使い方も間違ってるし……  イチャイチャしすぎて頭おかしくなってるのかもなぁ……←妄想したのはコイツ  禿同だけども……  だが!!! 「副会長、頭を冷やしてください!!!」    バシッ  思い切り振り払い、副会長の腕から逃れる。  こんな風に誰かで紛らわしてはいけない!!   腐男子たるもの、モブ攻モブ受、その他色々なカップリングからエグいものまで(たしな)んできたが、やはり譲れないカップリングは存在するのだ。  ただでさえ、ツンギレの副会長では古谷との絡みは喧嘩ばかり。珍しいデレ要素を、古谷以外で発揮してはならない‼︎  強く腕を振り解かれ、飛鳥が驚いて有栖川を見ると、腐った野望を宿した瞳に睨みつけられ、もう一度手を繋ごうとは出来なかった。 「え……ごめん有栖川君…」  振り払われた行き場の無い手が、宙で止まっていた。 (めちゃくちゃ怒ってる……)  手を繋いだのがそんなに嫌だったのかと、シュンと小さくなる副会長の肩。  な、な、なんだ!?  鬼畜眼鏡副会長がシュンとしてる……  これはやはり古谷先輩への罪悪感で押しつぶされそうなのだろうか。だんだんと小さくなっていく副会長の肩から、可愛らしさが滲み出ている……  副会長攻めは動かないと思っていたが、  受けもアリよりのアリなんじゃないか……  腐男子たるもの推しのカップリングは何かのきっかけですぐ変わる。  きっかけ一つで、今まで嫌っていたマイナーカプにハマった日には、わかりみを持って創作をするクリエイター様が少なく、不完全燃焼となること(やま)(ごと)したった。同人活動に目覚める前の有栖川も、発散されない欲望に酷く苦しめられていた。  もう一度飛鳥が有栖川を見ると、新たな世界を見据え、一際険しくなった顔があった。 (やっぱり、凄く怒ってる……)  飛鳥の肩がさらに小さく縮む。  

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