445人が本棚に入れています
本棚に追加
/289ページ
ことの顛末をレオンから聞いたエリーゼは、「なるほど」と頷いた。
父王にしては、なかなかじゃない。
悪くない決定だわ。
今回の決定に関して、異を唱える気はエリーゼにもなかった。
たしかに、王国軍総督に就任して間もないクラウスが「周囲から懐疑的に思われるのでは」と懸念する気持ちも分からなくはないが、それ以上に元帝国軍の兵士や竜騎士を新兵として迎え入れることができれば、早期の戦力増強が容易にかなうわけである。
つまり、即戦力の獲得。
加えて、紫紺のワイバーンを筆頭に、すでに訓練済みのワイバーンを十数頭も得ることができるのだ。これは大きい。軍事費用の大幅な削減につながる。
内心ウハウハのエリーゼであったが、姫君らしく微笑を浮かべて歓迎する。
「ようこそ、ルーベシランへ。セヴァン竜騎士団長の活躍に期待します」
「ありがとうございます。エリーゼ様、どうぞ、これまでどおりレオンとお呼びください」
「あら、いいの?」
「もちろんです」
「それじゃあ、公式な場面以外ではそうさせてもらうわね。あらためてよろしくね。レオン」
「大陸最強の竜騎士団にしてみせます」
「頼もしいわ。リアもそう思うでしょう?」
「…………」
返事がない。
「リア? ねぇ、リアってば、どうしたの?」
「……えっ、あっ、申し訳ございませんせん。そ、そうですね」
めずらしいわね。
リアが、呆けているなんて……ん?
呆けて……惚ける?!
自身のことには鈍い姫君は、他人のことにはピンッときた。
最初のコメントを投稿しよう!