或る日の侍女と騎士

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ルーベシラン王のあとを追い『王の間』へ向かったクラウスだったが、ほぼトンボ返りでレオンたちが待つ鍛錬場に戻ってきた。 渋い顔のクラウスは、レオンたちに首を振る。 「もう遅かった。陛下は新しい近衛兵を伴って、明日から城下の視察に向かうとのことだ」 「ええっ~! あいつらを連れてですかっ?!」 レオンとジェラルドが「信じられない」と顔を見合わせていると、「それから」とクラウスがつづける。 「本当に、全員登用されることになったから、希望者はこれに署名しろ」 新兵登用の手続き書類を、クラウスも半信半疑で手にしていた。 「ええっ~! 試技も何もないじゃないですか! いいんですか、それで?」 てっきり模擬戦くらいはあるだろうと思っていたレオンは、拍子抜けした。 「旧ライオネル兵は、一人残らず登用するようにと陛下が仰せられた。それで、レオン」 「はい、なんですか?」   ◇   ◇   ◇    そして訓練期間を終えた新兵の代表が、エリーゼの執務室に任官の挨拶に訪れたとき、エリーゼは口に含んだ茶を吹き出したのだった。 「レオン・シー・オブ・セヴァンです。このたびルーベシラン王国軍の竜騎士師団長に任命されました」
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