春の夜

5/16
前へ
/289ページ
次へ
―― 知識の泉 歴史、文学、算術、占学、天文学、 政治経済、薬学、語学、地質学、 哲学、芸術、自然科学、帝王学 ありとあらゆる学識と知恵が、湧き上がる泉のごとくその身を満たしていることから、いつしかエリーゼは、そう呼ばれるようになっていた。 『 かの姫には、十の賢者の価値がある 』 『 難問珍問、厄介事は、ルーベシランの姫に相談するが良い 』 噂が噂を呼び、いつしか。 「エリーゼ姫、じつはわが国は長引く財政難を抱えており、どうかひとつ、賢姫のお知恵を拝借できないでしょうか」 ルーベシランの謁見の間にやってくるのは、あれこれ頭痛の種を抱えた各国の要人たちばかりであった。 婚姻話は、この一年ない。
/289ページ

最初のコメントを投稿しよう!

458人が本棚に入れています
本棚に追加