1、その春に

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とりあえず、退屈しなさそうな本を三冊見つけ、図書館の カウンターに持っていき、借りる手続きをした。 それにしても病院の中に併設されているから小さい規模のものかと思ったが意外と大きな造りで棚には、色んな本が並んでいて、当面の間、本には困らなそうだ。 カウンター受付のお姉さんが私の腕や足を見て、鞄に入れお渡ししますので、お待ちの間、こちらをどうぞと簡単に開封できるクッキーと飴をくれた。図書館だけど良いのかなと思ったが、大丈夫ですよ。と言われ、とりあえずクッキーを口に入れる。 「美味しい。」 クッキーは、口に入れた瞬間、溶け、甘さが口内に幸せを届ける。 お姉さんが、笑顔でまた来てくださいねとそっと鞄を車イスの引っ掛けても落ちない部分にかけてくれ、お礼を言って、自身の病室に戻る。 美味しかった。また行こう。 お姉さんの優しさに触れつつも、またクッキー貰いたい欲に負け…てないからね。 うん…。 自己完結して、ベッドに横になりながら本を取り出す。 けれど…あれ? 私一応、借りる時、本の題名見たよね? 手に取った本の名前に、華結と先程、話に出た名前が記されているが、借りた覚えがない。不思議に思い、起き上がってもう一度確認しようとした私は、ベッドに設置してあるテーブルに手を当ててしまう。 カラン その瞬間、ガラス瓶が私の手に落ち、本のページが勝手に捲られ始め、光った。 な…に…?
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