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_____わたしの夢は愛しい人から愛されること。
『ねぇ、俺をみて____。』
彼の一言で意識が少しばかりそちらへ連れてこられる。
でも、体はまだ寝ているみたい。
朦朧とした意識だけども分かる目の前の愛しい彼。
彼はまるで宝物を扱うかのようにわたしに触れる。
彼の触れるところがぞくぞくしてすこし気味悪いような、でも心地いような気持になる。
そう思うってことはわたしはきっと愛されているのだな。
わたしは彼の手をもう一度と求めてしまうけれど、今日は平日。
だから私たちは大学に行かなくてはいけない。
彼とずっといたいけれど、彼とは違う大学だからお昼は一緒にはいられない。
でも授業が終われば会える。
わたしは授業中も恍惚として、気持ちはふわふわ。
授業中にも関わらず、彼からメッセージが来る。
ぼんやりとした容貌の教授の話なんて聞こえてこない。
わたしは彼のメッセージに早速返信をする。
はやく彼に会わなくちゃ。
気づけば授業も終わって彼のアパートへ向かう道を歩いていた。
心臓がどきどきする。
歩きなれた道なのにな。
ふと顔を上げると、わたしの目の前に“わたし”がいる。
『そちらに行ってはダメ。』
どこのことを言ってるの?
『彼の家のことよ。』
なんで?
『この感情を思い出して。』
なんのことだろう。
(ズキッ)
カラダが疼く。
もしかして痛いの?
「違う、違う違う違うッ!」
わたしは叫んだ。
痛くなんかない。
痛いはずがない。
そうだ。
なぜならこれは彼からの愛のカタチだから。
わたしは“わたし”を押しのけて彼のところへ向かった。
『ダメ!逃げて!』
“わたし”はまだ何か言っているようだが無視をする。
これ以上“わたし”と話していると何かを思い出してしまいそうで。
辺りが暗くなってきた。
もう一日が終わるの?
違う。
これから一日が始まるんだ。
わたしは意識を放して、目覚めた。
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