はのようせい

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「このように、ブラシは歯にやさしくあててね。強くこすらないこと。皆さんはこれから大人の歯に生え変わる時期だから、歯を大事にしましょうね」 保健の先生が大きな歯ブラシと、歯列の模型を掲げている。 「ねー、まなみちゃんのとこ、妖精さん来た?」 みちるは赤い染め出しの粒を袋から取り出しながら、隣にいるまなみに聞いた。 「来たわよ。いー」 すでにピンク色になった歯を鏡で確認しつつ、まなみが答える。 「銀のコインと、プリンセスシリーズの歯磨き粉を貰ったわ」 「えー、歯磨き粉も? いいなー」 「みちるちゃんは?」 「…えっと……」 「ねー先生、どうせ大人の歯になるんだから、全部生え変わってから歯磨きすればよくねー」 一人の男子が、先生に素朴な疑問をぶつけた。 「今、乳歯が虫歯になってしまうと、大人の歯がきれいに生えてこなくなってしまうのよ」 「私この前、テレビで木の枝で歯磨きしてる人みたー」 別の女子が急に思い出したように言う。
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